-* ナオコの初潮 *- 汐見ナオコは、背が高くて利発な5年生だ。市立浜東小学校で、児童会の副会長をやっている。1年生の時から背の順はずっと一番後ろだ。手足が長く、運動会の徒競走でもトップを逃したことがない。男子と取っ組み合いの喧嘩すると、いつも勝っている。 だから友達はみんなナオコが自信家だと思っている。でも違った。ナオコにはコンプレックスがあった。そばかすだった。小さい頃は気にならなかった。けれども、オシャレに興味を持つ年頃になってから、鏡を見る度に劣等感に苛まれた。鼻の周りを覆う、宿痾みたいなそばかすを見る度に、溜息をついた。 3歳年上の顔は、地黒だけれど、艶やかな小麦色だった。
それなのにのナオコは、とは対照的に、透き通るような色白で、柔らかな肌をしていたが、顔の真ん中にそばかすが沢山できている。 も、色白は七難隠す、と言って慰めてくれていた。 でも、4年生の時、クラスの男子が、「シャム猫」とからかったせいで、自分の顔に自身を持てなくなっていた。  本当のナオコは、色白できめ細かい肌をして、細面の中には可愛らしいピンクの小ぶりな口があって、モデルになれそうな整った顔立ちをしていた。 全体に愛嬌のある顔立ちだったが、涼しい目元とまっすぐな鼻筋は、ヨーロッパの青磁を思わせる静かな美しさを湛えていた。 母親は、ナオコの豊かな黒髪を愛でて、毎日丁寧にブラッシングしてくれていた。 背中までまっすぐ伸びた、こしのある黒髪には、ふけ一つついていなかった。 だが、当のナオコ自身は、そばかすのことだけを思って、自分はなんて不細工に生まれたんだろう、と嘆くのだった。  ナオコの初潮は4年生の正月だった。 一家4人で初詣をし、家に帰って団欒していた時、突然それは始まった。 ナオコと父親は居間でミカンを食べながら下らないお笑い番組を見ていた。 母親は台所で夕飯の支度をしていた。 父親は、単身赴任先から正月休みで帰省していて、軽く酔っていた。 ナオコは久しぶりに家族が揃ったのが嬉しかった。  不意に、コタツの中からプンっと生臭いにおいがした。 股間も痒かった。 父親は瞼を閉じて眠っているようだった。 誰の目もなかったので、ナオコは密かに自分のズボンの腰をひっぱり、パンツの中を覗いた。  するとどす黒い血で汚れていた。 「あっ」と、思わず声を上げた。 そしてキッチンに駆けて行き、に耳打ちした。 「おねえちゃんどうしよう。生理になった」 すると母親が雑煮を盛り付けながら、「え、なにどうしたの」と言う。 「ナオコにアレが来たって」「あらオメデタイ」 母親が声を挙げる。 女3人で姦しく話していると、いつの間にか父親が起きてきて、台所にやってきた。 「ナニ、何か良いことでもあったの」 するともナオコも、しんっと静まり返る。  ナオコは赤くなり、はにやにやと笑う。  がナオコの袖を引っ張って、部屋に連れて行った。  久しぶりに入るの部屋は、ポプリの香りが漂っていた。 昔はアニメのカレンダーが貼ってあった壁には、外国のロックスターのポスターが飾られていた。 はタンスの中からサニタリーショーツを出して、鳴れた手つきで生理ナプキンを貼り付けた。 とりあえず、パンツを替えなさい、と言った。 ナオコはその場でズボンとパンツを下ろして、から借りたサニタリーショーツに穿き替えた。 胴の底の方にうっすら毛が生え始めているのに、は気付いたがナオコ自身は気付いていなかった。  それからに連れられて洗面所に行った。 血の付いたパンティーの処理の仕方を教えられた。 おで洗うと固まっちゃうからね、とは言う。 石鹸と水で股布を擦っていると、鉄の臭いが立ち昇ってきた。  洗いながら、は、「生理のことって学校でもう習った?」「いちおー」「毎月来て、1週間くらい血が出るからね。ナプキン用意しておくんだよ」「ハーイ」 居間に戻ると、食卓にはおせちと雑煮が並んでいた。 父親は上座で日本酒をちびりちびりとやっていた。 会話をするのは女3人だけで、父親はあまり喋らなかったが、上機嫌だった。 時折、父親が冗談を言って、とナオコが笑った。 テレビのお笑い番組では漫才師がolをいじっていた。 olが、カレシが奇行をする、というような話をして笑いを取っていた。 それを見ていた父親が、「カオリには、もう彼氏なんかいるのか」と言った。  は、最初無視していたが、沈黙が気まずくなったのか、母親に、「明日、リョータ君と初詣に行くから」と言った。  父親は、「そうか」と言って、夕焼けを飛ぶとんびでも眺めるような目で、どこか遠くを眺めていた。         -* ナオコの初カレ *- ナオコに初めての彼氏ができたのは5年生の6月のことだった。 相手は同じクラスの大原健太だった。 背が小さくて、勉強はできない男子だったが、すばしっこくて体育の時は皆のリーダーになっていた。  初めの頃、健太に興味なんてこれっぽっちも持っていなかった。 むしろ嫌いな男だった。 5月になると、健太の一派が大人しい男子をからかって、持ち物を隠したり、教科書に落書きをしたりするようになった。 ナオコは学級会で健太を非難した。 「大原君たちが**君をいじめています」すると健太は、「ちげぇよ。おれじゃねぇよ」と、悪態をついた。  確かに、健太自身がいじめをやったことはないらしかった。 実行犯は、金魚ののように健太に着いて回っている、別の男子だ。 だがナオコはそんなことを知らなかったし、ケンタも、実行犯の名前は決して口にしなかった。  結局、担任の教師は、いじめられていた男子と健太を教壇の上に呼び出して、皆の前で握手をさせて、「これで解決だな」と言った。  6月になると、俄かに、変な噂がクラスで囁かれるようになった。 ある金曜日の放課後、児童会室で会議を終えた後、帰り支度のために教室に戻ろうとすると、中で数人の女子がお喋りに興じていた。  ある女子が言った。 「大原君って、汐見さんのこと好きだよね」 きゃあきゃあ、という嬌声に混じって、「もう付き合ってるらしい」とか、「ジャ○コで二人でプリクラを撮っていた」などと、別の女子が出鱈目を言う。  噂には尾鰭がつくものだ。  その週末、ナオコは不機嫌だった。 むかつく、むかつく。 何故むかつくって、それは、からかわれているに決まっているからだ。 そういえば、そばかすのことを、シャム猫と言ってからかったのも、健太の取り巻きの一人だった。 今度は、ナオコと健太が付き合っていると噂を流して、侮辱しようとしているんだろう。 そうナオコは考えた。 (ある意味で、それは当たっていた) 月曜日の昼休みに、ナオコは、健太を呼びつけた。 健太は仲間とボール遊びをしに校庭へ向かう途中だった。 最初から、怒り心頭の剣幕だった。 健太の取り巻きが着いて来ようとしたので、「金玉ついてるんだったら一人で来なさい」と怒鳴った。  二人だけで児童会室に行った。 「変な噂流さないでよ」「何のことだよ」「私と大原が付き合ってるとか、誰かに言ったでしょ」「言ってねえよ」「私、大原のこと、嫌いだからね!」「・・・俺はお前のこと好きだよ」「・・・へ?」「俺、お前にそんなに嫌われるようなことしたか?」 ナオコの顔が赤くなる。  しどろもどろになって、終いには、「大原が嫌いっていうわけじゃないけど、付き合うとか考えたことないし、まだ早いっていうか」などと、訳の分からない言葉がナオコの口からついて出た。  だが結局その日から、ナオコと健太は打ち解けて、健太はナオコの児童会の作業を手伝うようになったし、二人で一緒に帰ったりもするようになった。  友達に、「付き合ってるの?」と聞かれると、否定も肯定もできず、ただただ恥ずかしかった。    -* 夏祭り りんご飴 ファーストキス *- 7月の最後の金曜日に海浜公園で花火祭りがあった。 二人は一緒に行こうと約束していた。 その日は、その年の夏休みの中でも特別に蒸し暑い一日だった。  待ち合わせは夜5時だった。 ナオコにとって初めてのデートだった。 クローゼットには、まだデートに着ていくような洒落た服はかかっていなかった。 から少しませた服を借りた。 彼氏ができたことを、まだ家族に話していなかった。 には、友達と遊びに行く、と嘘を言った。  ロックミュージシャンとのコラボTシャツと、シンプルなデニムスカートを拝借した。 それから内緒でのペディキュアを借りて、足の爪に塗ってみた。 きらきらして、中学生高校生になったような気分になった。 洗面台へ行って、リップグロスをさしてみた。 鏡を見ているとそばかすが気になったので、ファンデーションで隠そうかとも思ったが、使い方が分からなかったので、やめた。  向日葵のアップリケが着いたポシェットに、財布を入れた。  それから生理ナプキンも入れた。 前回のが終わって2週間くらい経っていたので、今日明日にもアンネになりそうな予感がしていた。 自分の部屋の鏡の前で、から借りた服に着替えをした。 パンティ一丁になって鏡を見ると、乳房がポコンと盛り上がっていた。 そろそろブラもした方がいいかな、と思った。  海浜公園の駅前に着くと、健太が待っていた。 健太は学校に着て来るような子どもっぽいTシャツを着て、デニムのハーフパンツを履いていた。  手を繋いで、海浜公園へ歩いて行った。 人だかりができていて、沢山のカップルや家族連れが行き交っていた。 暴走族も出張っていた。 他のカップルを見ると、皆、男の方が大きかった。  私たちってヘンかな、とナオコは一瞬だけ思った。 しかし、喧騒の中で、次第にナオコは頭がぼうっとしてきた。 少女漫画の主役みたいな気分だった。 付き合うって、こういうことなんだ、とナオコは思った。 「ケンタくん、リンゴ飴買ってもいい?」 と言うと、「え、おれ、お金持ってきてないし」と、健太が困ったように言った。 「自分で払うから大丈夫だよ」と、ナオコは言った。  海のかなたの水平線に日が沈みかかって、世界は紅く照らされていた。 屋台には提灯が掛けてあった。 発電機のブロロブロロという回転音がどこからともなく響いていた。 陳列台に飴がたくさん立ててあった。 色とりどりの飴を見ていると江戸時代にタイムスリップしたみたいだった。  リンゴ飴、と思っていたけれど、結局ナオコはイチゴ飴を買った。 ケンタには、骨付きソーセージを買ってあげた。 歩きながら、二人で食べた。  串と骨が手元に残った。 ごみ箱を探して歩き回っているうちに、公園のトイレの陰に辿り着いた。 健太が、「ゴミは俺が持って帰るよ」と言って、ナオコの手から串を取り、骨と一緒にハーフパンツのポケットに押し込んだ。 “男らしいなあ”と思って、胸がきゅんっと締め付けられた。  両手を繋いで、見つめ合っていると、ケンタが突然「チューしようよ」と言った。  ナオコもキスをしてみたかった。  だが、「恥ずかしいよ」という言葉が口をついて出た。  しまった、とナオコは思った。 拒絶していると思われたかな、と心配になった。 それで、「人がいると恥ずかしいから、おうちでしない?」と、言い直した。 「俺ん家でも、結局さんがいるし」「うちんちも、多分おちゃんがいる・・・」 そう言い訳をした後、ナオコは、身を少し屈めて、健太の顔に自分の顔を近づけた。 そして唇を合わせた。  チューってどうやるんだっけ、とナオコは思った。 そして小さいころ父親の頬にしたように、吸ってみた。 チュウっと、唇と唇の隙間から音が鳴った。  口を離すと、ケンタは繋いでいた両手を離してナオコの背中に腕を廻した。 そして抱き着いて、胸に顔を埋めてきた。 「ちょっ、だーめ。やめてよぉ」 とナオコは言った。 恥ずかしかったこともあったが、から借りたTシャツに汚れが着くことを何より心配していた。  健太は、臆面もなく「触らせて」と言って、返事も待たずに乳房を触り始めた。  それほど嫌な気分はしなかったが、「やだあ」と甘く拒絶した。 すると健太は、「ちょっとだけでいいから」と言って、息を荒げながら、夢中で乳房を揉み始めた。  健太よりも身長の高いナオコは、その様子を上から見下ろしていた。 だんだん可愛いな、と思ってしまった。 為すがまま、しばらく乳房を触らせているうちに、乳首が勃って気持ちが良くなってきた。  ケンタくんのアソコも立っているのかな、とナオコは思った。  すると突然、お腹の奥からパンツの中にドロリと液体が流れ出してきた。 汗をかいた時のように、股間にネットリとした嫌な感触が広がった。 生理が来ちゃった、と思った。 「ね、もうヤメテ」 と健太に言った。 だが手は夢中で乳首を触り続けていた。  ナオコが、「痛い!」と叫ぶと、健太の手が止まった。  ナオコは、「あたし、トイレ行くから」と言って、健太のそばから離れた。 便所の列の後ろへ向かって歩いて行った。 女子トイレにはお決まりの長蛇の列が出来ていた。 健太は公衆便所の陰に立ち尽くしていた。 ナオコは、我に返ってから、ファーストキスは海岸のロマンチックな場所が良かったかなあ、と思った。          -* 野の狩り *- ナオコがトイレの列に並んでいると、スーツ姿の太った男が野太い声で、「君、どこの学校の子?」と声をかけてきた。  “ヤバイ、補導員だ!”と思った。 そして咄嗟に嘘をついた。 「海浜小の5年1組の・・・」 だが、偽名までは思いつかなくて、「汐見ナオコです」と言ってしまった。  どうしよう、どうしよう、どうしよう。 警察へ連れて行かれて、親を呼ばれて・・・児童会の副会長もクビかな・・・。 ナオコは泣きそうになって、無意識に、「ごめんなさい、ごめんなさい」と繰り返していた。  すると男は、にっこり笑って、「いや、あっちのトイレの方が空いてるからさ」と、言って、公園の出口を指差した。  あっちにトイレなんてあったかな、とナオコは思ったが、補導するつもりがないらしいことが分かって、気が緩んだ。 オヤジギャグでナオコを落ち着かせようとしてくれているし、悪い人ではなさそうだ。  そう思って、男に導かれるまま、公園の外へ出た。  こうして尖頭猛彦というレイプ魔の罠に、また一人の少女が落ちて行った。  連れて行かれた先は、川べりの廃墟だった。 そこは古い火事の焼け跡で、もともと民家があるらしかった。  体が勝手に震えだした。 幽霊屋敷のようで怖かったのだ。 だが、猛彦が体を狙っているとは、ナオコは思いもしなかった。  猛彦が先を歩く。 ナオコは躊躇って立ち尽くす。 すると手首を掴まれる。 仕方なしに着いて行く。 だだっ広い庭だった。 草叢の中を20メートル以上歩く。 黒焦げの玄関のドアに辿り着く。 鍵も蝶番も壊れていて、押しても引いても開く、完全にばかになったドアだった。  靴を履いたまま家の中に上り込む。 どこに死体が転がっていてもおかしくなかった。 一人にされるのが怖くて、猛彦の腕にしがみついた。 猛彦は奥へ奥へと突き進んで、和室の前で立ち止まった。 「中へ入って」「・・・怖いですよぅ」「隅の方は明るいだろう? あっちの方、見てごらん」 見ると確かに月明かりでぼんやりと照らされた一角があった。 足がすくんで踏み出せなかった。 すると背中を押され、ナオコは躓きながら和室の中で倒れ込んだ。  スカートがめくれてしまったので、直して、ぺたんと女座りをした。 猛彦はナオコの肩から向日葵のポシェットを取った。 そして、財布とナプキンを取り出した。 恥ずかしい、とナオコは思う。 「生理、あるのか?」 と猛彦が尋ねてきた。 ナオコはハイ、と返事をした。 「大丈夫だ、金に興味はない。命も取らない。心配するな。声は出すなよ」 と、猛彦が捲し立てるように言った。 ハイ、と答えるしかなかった。  猛彦がナオコの首に顔を近づけてきた。 フゥー、フゥー、と荒い鼻息が耳についた。 耳たぶに甘噛みをされた。 ナオコは、これから何をされるのか不安で仕方がなかった。 いつの間にかオシッコが溜まってきて、ちびりそうだった。  Tシャツの裾を摘ままれて、一気にめくり上げられた。 ノーブラのオッパイが露になった。 ナオコはやっと、変質者だ、と気が付いた。  左の乳首を撫でられた。 無骨な指なのにとても繊細なタッチで輪を描くように撫でられた。 すぐ乳首が突起した。 心は愛撫を拒絶していたのに、体は敏感に反応した。 彼氏の健太に触られた時よりも、ずっと気持ちが良くなってしまった。 ナオコは目を閉じた。 猛彦はやがて右の乳首を同じように撫でて、左の乳首舐め始めた。 おが勝手にぞもぞと動き始めた。  次に猛彦はナオコにキスをした。 初めは唇と唇を微かに触れ合せるだけだった。 想像していた大人のキスとはまるで違っていた。 じれったくて、どきどきした。 やがて髪を撫でられ、頬を指先で触れられた。 そして顎の先を指先で摘ままれた。 それから猛彦は舌を入れてきた。 タバコの匂いがした。 「ナオコちゃんも舌を出して」と言われた。  ペロっと舌を突きだすと、猛彦はじっとりと舌先どうしを触れ合せ、それから唇で包み込んできた。 「ペニスキッスって言ってね、ナオコちゃんの舌がオチンチンで、僕の口がオマンコだと思って、セックスみたいに入れてみて」 ナオコは言われるがままに舌先を猛彦の口に挿入した。 そしてピストン運動をした。 体の奥が燃えるように熱くなってきた。  Tシャツとデニムスカートを脱がされて、畳の上に押し倒された。 そしてパンティーを脱がされそうになった。 ナオコは慌てて、「生理なんです」と言った。  猛彦はパンティーの中に手を突っ込んで、股の間をぐにぐにと触った。 そして指の匂いを嗅いで、「濡れてるだけだろう」と言った。  パンティーを脱がされた後、股を、今までに経験がないくらい大きく広げられた。 猛彦が股の間に入ってきた。 ニオイでも嗅ぐように顔を近づけてきた。 じっさい猛彦は、クンクン、と音を立てて、ナオコの股間をかいでいた。 ぼっと頬が熱くなった。 そしてお腹の下の方を舐められた。 最近毛が生え始めた部分をペロペロと舐められた。 そしてちゅうっと音を立てて吸われた。  猛彦はナオコにペッティングをしながら服を脱ぎ始めた。 あっと言う間にスーツを脱いで、ブリーフとカッターシャツを脱いだ。  一旦顔を上げて、上半身を起こしてから、肌着も脱いだ。 ナオコの視界に巨大なペニスが飛び込んできた。 「あっ」 と、思わず声を上げた。  野生動物を思わせる逞しい男性器だった。 大人のペニスは、父親とお風呂に入る時に見ていたが、全然違う物に見えた。 ぴんっと上を向いていて、長く、太かった。 先っぽは、一段とゴツゴツしていて、全体的に黒かった。 陰茎の根元は沢山の毛で覆われていた。 人間の体の一部とは思えなかった。 むしろそれはテレビの動物番組で見たことのある、馬のペニスに近かった。  見ただけで怖くなって、股を閉じようとした。 すると男は鬼のような顔つきでナオコの太腿を掴んで、バックリと広げた。 そして、亀頭でワレメを擦った。 ナオコの性器は散々愛撫されて濡れていたので、クチュクチュと淫水の音が立った。 「女は皆経験することだからな」 と、猛彦が言った。 ナオコの目からぽろぽろと涙が溢れた。 そしていつのまにかしゃくり上げて泣いていた。 「今日が初めてか?」「うえーん」 ひきつけを起こしたように、痙攣しながら泣いていると、猛彦は再び優しい手つきでナオコを撫で始めた。 怖いのに、体の震えが止まった。 愛撫に身を委ねるように、体の力が抜けていった。  乳首に口づけされると、快感が体の中を駆け巡った。 股から蜜が垂れるのが自分でも分かった。 するとワレメに触られた。 猛彦は体中にキスをしながら、徐々に顔を下半身に近づけていった。 そして陰毛を再び舐めた。  それから股を開かせて、おの穴からクリトリスまでを、丹念に舐められた。  大陰唇を押し広げられて、クリトリスを剥き出しにされた。 冷たい空気に触れて、おがきゅんと窄まった。 すぐに唇で覆われて、優しく舌で舐められた。 クンニリングスをしながら、猛彦は両手をナオコのオッパイに伸ばしてきた。 そして乳首の先端を的確に指先で弄んだ。  クリトリスと乳首を同時に刺激された。 おと膣の筋肉が痙攣し始めた。 気がつくと、「アー、アッアッアッ」とエッチな声を漏らしていた。 オマンコが一秒に緊張と弛緩を繰り返した。 痙攣は徐々に強くなった。 頭の中が真っ白になった。  初体験のオーガズムだった。  気がつくと、猛彦は、体をナオコにピッタリと密着させて、キスをしていた。 そして耳元で囁いた。 「さあ次はナオコの番だよ」「うちも舐めるの?」「いいや、オマンコしてもらう」 ナオコの顔から血の気が引いた。 おちゃんだってセックスはまだだ。 心底怖かった。 だが、拒絶する間もなく、猛彦の亀頭はナオコの大陰唇のワレメに侵入してきた。 おの穴とオマンコの穴の境目に、ペニスを何度かグイグイと押し付けられた後、ズボッと亀頭が膣に入ってきた。 ズコズコズコっと体の中に鈍い音が響いた。 股間に鈍い痛みが走った。 それは次第に刺すような鋭い痛みへと変わって行った。 「痛いぃ。入らないよぅ」 ナオコは泣きながら言った。 「体の力を抜いて。絶対入るから」「無理だよう。イタっ。イタイー。抜いてぇ」 思わず叫び声を上げる。 猛彦は、ナオコの口を掌で塞いでから、芝居がかった言い方で、「ボクはね、3年生ともオマンコしたことがあるだ。みんな泣いたけど我慢したよ」言った。 もう我慢するしかないんだ、とナオコは思った。  まな板の上の鯉のように、後は猛彦の好き勝手に料理された。 両をカエルのように拡げられて、全身で乗っかってきた。 オマンコと肛門とお腹の奥に激痛が走った。 バリバリっと、体の中で何かが破れたような音がした。 ナオコは大声を上げながら、幼児のように泣いてしまった。 「はあ、はあ、ほら、入っただろう」 ナオコは返事もできなかった。  ふと下を見ると、ナオコのワレメに男の陰茎が根元まで入っていた。 二人の陰毛が絡み合っていた。 乳首を触られると、体が勝手に反応して膣がきゅんっと引き締まった。  猛彦はナオコの体を起こした。 終わりなのかな、と思って、ナオコは立ち上がろうとした。 すると猛彦は、どすの利いた声で「逃げるな」と怒鳴った。  びっくりして、へたり込むと、陰茎が再び膣に全部埋まった。 体を抱かれて、乱暴に突き上げられた。 膣の奥に亀頭をぶつけられた。 痛くてたまらなかった。 そしてついにお漏らしをしてしまった。  ナオコは、「ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい」と無我夢中で謝った。  すると許してくれたのか、頭を撫でられて、優しくキスをされた。 そして、「愛してる」と言われた。 「おさんにしたいよ」 びっくりして顔を上げると、またキスをされた。  急にロマンチックな気持ちになっていた。 気がつくと、自分から舌を突き出して、ディープキスを求めていた。 「いま、赤ちゃん作ってるんだよ。ちんぽから出た精子がマンコの中の卵子に入って、妊娠するんだよ。二人の赤ちゃんが出来るよ」「ほんとに、うちのこと、す、すきなの?」「ナオコ、ナオコー、最高だー・・・」 猛彦は腰を振りながらナオコを押し倒し、正常位になった。  ナオコも手足で猛彦にしがみついていた。  猛彦が射精する。 精液が膣の奥に溜まる。 それからナオコの子宮は大きく息を吸うように、一気に精液を吸い上げる。 そして精子を大量に受け止めた。  その後ナオコはフェラチオを教えられ、上の口でも精液を飲み込んだ。 猛彦はワイシャツの袖でナオコの股を軽く拭いてくれた。 しばらくの間、猛彦に腕枕をされて休んだあと、それぞれ起き上がって帰り支度を始めた。 ナオコはパンティーにナプキンを貼り付けて、生理の時と同じように手当てした。 そして猛彦の後ろについて、駅まで歩いた。  駅に着くと、猛彦が切符を買ってくれた。 二人の電車は反対方向だった。 別々のホームで電車を待って、ナオコは猛彦を見送った。 それからナオコも電車に乗って、家に帰った。  ベッドに潜って、しばらくぼうっとしていた。 今日の出来事を振り替えった。 そして健太を置いてきてしまったことを初めて思い出した。 でもいいや、と思った。 疲れきって、ナオコは眠ってしまった。      -* ビューティー ビースト *- 夏休みが明けるまで、健太と連絡を取らなかった。 ナオコの心はすっかり猛彦に奪われていた。 あの人は、私のことを好きだと言ってくれた。 乱暴だったけど、力強く愛してくれた。 セックスは嫌だけれども、体を撫でてキスして欲しかった。  でも、ナオコは、あの人の連絡先どころか、名前すら聞き忘れていた。 もう一度会おうとして、何度も海浜公園の駅に言った。 そしてプラットホームのベンチに座って、夕方から終電まで電車を見た。 でも二度と会うことはできなかった。  そんなことをしていたある日、ナオコは微熱と激しい吐き気に襲われた。 に付き添われて小児科を受診した。 すると母親を呼ばれて、近くの総合病院に緊急入院させられた。  母親は深刻そうな面持ちで医者の話を聞いていた。 それから婦人科の内診台に乗せられて、股間の検査を受けさせられた。 女医は、膣に内視鏡を入れて、中を見ながら、「ナオコちゃんは、おマタのあたりを他人に触られたこと、あるかなあ?」と、優しい口調で尋ねて来た。  ナオコは困って黙り込んだ。  すると女医は続けた。 「ナオコちゃんはもう彼氏はいるのかな?」「・・・一応、はい」「彼氏クンには、体を触らせたことはあるぅ?」「ないです」「キスしたことはあるかなあ?」「キスだけなら、あります」「セックスはしてないの?」「してないです」 それから診察室の隅で女医母親が小声で話をしていた。 妊娠とか性被害とかいっているのが聞こえた。 その後、母親がナオコに近づいてきて、耳元で、「ナオちゃんのお腹に黴菌が入ってるみたいだから、キレイにしてもらいましょう」と言った。  ナオコは、うん、と頷いた。  内診台の上で待っていると、女医看護婦が機械を運んで来た。 そしてナオコのワレメにローションを塗り込んだ。 「痛かったら手を上げてね」と言ったあと、膣の中にゴムホースを押し込んで来た。 猛彦のペニスよりずっと細く、柔らかかった。 子宮に入る時、鈍い痛みがしたが、処女喪失の時より遥かに楽だった。  ブーン、という掃除機のような音が響いた。 お腹の中が少し痛くなった。 そして機械に繋がっているガラス管の中に、べっとりした血のようなものが溜って行った。 作業はものの10分ほどで終わった。 何をされたのかは、ついぞ教えてもらえなかった。 終