『警視庁から入電中、警視庁から入電中、帝丹小学校体育倉庫で殺人事件発生。直ちに現場へ急行せよ。直ちに現場へ急行せよ』

 いま思えば、あの入電ボイスが全ての始まりであった。
ケータイ刑事である銭形愛の専用携帯電話には、事件が発生すると警視庁から捜査開始命令の連絡が入る。

指令を受ければ直ちに現場に急行して捜査に当たるのが愛の仕事なのだ。
その日も普段と同じように、愛は現場に指定された小学校へと一人向かった。

いつもなら大抵相棒の五代刑事も一緒にいるのだが、今日は法務大臣から仕事を頼まれたとのことで、珍しく別行動となっていた。
 普段と違うと言えば、現場の様子もどこかおかしかった。
学校で殺人事件となれば大騒ぎになるのが当然のはずなのに、体育倉庫には野次馬はおろか、鑑識の人間さえ見当たらない。

それ以前に被害者の遺体すらどこにも無いのだ。今まで入電ボイスが誤報だったことは一度も無い。しかし愛にはここが事件現場とはどうしても思えなかった。

(誰か……いる?)
 陽の傾きかけた体育倉庫の中で、愛は僅かに人の気配を感じ取った。携帯電話のストラップを指にかける。この和同開珎を模したストラップは、犯人に投げつけて捕縛するための武器になるのだ。
「おっと、お賽銭は遠慮しておくよ銭形警視正」
 ところが跳び箱の影から現れたのは意外な人物だった。10歳くらいの幼い少年。半ズボンに黒ぶちの大きな眼鏡をかけている。

声も女の子のように高いトーンだったが、その語り口はとても子供とは思えない、落ち着いた深みのある口調だった。
「多摩川検事正……びっくりさせないでくださいよ」
 少年の名は多摩川ドイル。法務大臣の息子にして現職の検事正。見た目は子供だが、どうやら永遠に成長しない特殊な体質らしく、その頭脳は普通の大人と同じかそれ以上の冴えを持っていた。

警察のことをあまり信用しておらず、時々こうやって事件現場に姿を現して自ら捜査にあたったりする。そのため愛も何度か力を合わせて……というか、競い合って事件を解決したことがあったのだ。
「またご自身で事件を捜査ですか?」
「事件? 何のことだね。ここは私の通っている小学校だよ」
「小学校……って。検事正が?」
「君だって現職の警視正でありながら高校に通っているじゃないか。見た目が子供である以上、世間体というものがあるからね」
「なるほど、そう言われてみれば……」

 確かにドイルの外見はどこから見ても子供そのものだった。愛がこうやって腰をかがめて視線を合わせながら話していると、ごく普通のと弟のようにしか見えない。
実際はドイルの方がずっと年上のはずなのだが。
「じゃあやっぱり何かの間違いだったのかな」
 愛はもう一度携帯電話を開いてみた。入電ボイスで指定されている殺人事件現場はやっぱりこの体育倉庫だ。背負っていたランドセルを足元に置いて、ドイルが手を差し出す。

「見せてみたまえ。殺人事件発生がもし誤報なら責任問題だ。関係者を厳正に処分せねばならない」
 言われるまま愛は携帯電話を手渡し……そうになって、はたとその動きを止めた。電話を胸元に引き寄せて握り締める。
「多摩川検事正……どうして殺人事件だってご存知なんです?」
「うん?」
「あなたはさっき殺人事件とおっしゃいましたね? 私はまだ『事件』としか言ってませんよ。入電ボイスの内容はケータイ刑事しか知らないはず。あなたはこの体育倉庫の中を見て殺人事件が誤報だなんて、どうして気付いたんですか?」

 考えられる結論は一つ。ドイルが最初から入電ボイスの内容を知っていた。そうとしか考えられない。つまりこの入電ボイスはドイルが何らかの方法で仕組んだニセの指令であり、その目的は愛をこの体育倉庫に呼び出すことだった……そう考えるのが普通だろう。

足元のランドセルを開きながらドイルが不敵に微笑む。
「さすがだね銭形警視正。けれどそこまで私が怪しいと気付いたのなら、早々に私の動きを止めるべきだったね。知人だからと油断していると……」
 ランドセルの中からドイルが取り出したもの。それはガスマスクと小型の圧縮ボンベだった。

「……取り返しのつかないことになる」
 マスクを被ると同時にボンベを開き、中のガスを噴出する。愛はとっさに制服ブレザーの袖で鼻と口を覆うが、その程度で防げるようなガスではなかった。
「これはッ?」
「知り合いの博士に頼んで作らせた筋肉弛緩ガスだよ。なに、10分ほど身体が痺れて動けなくなるだけさ。その間君を無抵抗の人形に出来ればそれで十分」
 恐ろしい即効性のガスだ。たちまち愛の膝が震え出し、床に四つん這いに倒れ伏してしまう。
口を覆う力も無くなり、完全にうつ伏せになってしまうと、もう二度と立ち上がることも出来なかった。

「ど、どうして……こんなことを……」
「警察教養規則極秘特例に定められた特殊教育カリキュラムは知っているね?」
「ケータイ刑事に課せられる……通常の警察官教育より厳しい特殊教育課程」
「そう。もちろん君はそれを優秀な成績でクリアしている。しかしこのカリキュラムには修了後、本人の資質の応じて追加される補講事項が存在するのだよ。例えば……」
 ガスマスクの向こうで、黒ぶちの眼鏡に彩られたドイルの視線が愛を貫く。

「ケータイ刑事となった人間が若い女性だった場合、犯人からの抵抗で性的暴行を受ける恐れがある。もちろんそれを未然に防ぐ対処法や護身術は学んだはずだが、万が一暴行を受けた場合……ケータイ刑事ならば取り乱すことなく冷静に状況を分析し、ベストの行動を取らなくてはいけないのだ。残念だが銭形警視正、君にそれだけの強い精神力があるとは思えない。現にこうやって私の罠に堕ちてしまった訳だしね」

 圧縮ボンベの気圧メーターを確認し、ドイルはガスマスクを外した。
靴のつま先で愛のめくれかかったスカートを引っ掛けるが、ガスを嗅がされた彼女は全く抵抗できない。レースのあしらわれた薄いパープルの下着が露わになる。

「これより警察教養規則極秘特例に基づき、銭形愛・警視正に対する特殊教育カリキュラム補講事項を実践する。……諸君、入ってきたまえ」
 ドイルが体育倉庫の外に声をかけると、ドアが開き、小学生の少年たちがなだれを打って入り込んできた。

「多摩川検事正……。い、いったい……何をするつもりですかッ?」
「決まっているだろう。君が犯人に暴行を受けても動じないよう、性に関する耐性を徹底的につけてもらう。彼らは私のいわゆるクラスメイトというやつでね。精通を迎えて女性の身体に飢えているのだ。君をセックス漬けにするにはもってこいの人材というわけさ」

「そんな……嫌です! どうして検察の人間のあなたが……」
 呂律のおぼつかない唇を必死に動かして反論しようとするが、既に麻痺した手足は少年たちによって引き広げられ、愛は大の字になって仰向けに固定されてしまった。
いくら大人数とはいえ、小学生の男の子の力に敵わないなんて情けなさ過ぎる。

「ねぇドイルくん。本当にこのおちゃんを好きにしていいの?」
「ああ構わないよ。愛おちゃんは今日からしばらくの間、うちの小学校の慰安奴隷になってくれるんだ」
「いあんどれい?」
「好きな時に好きなだけセックスしていいってことだよ」
 少年たちはさすがに顔を見合わせて躊躇していたが、ドイルがスカートのホックを外して鮮やかに腰から抜き取ると、免罪符が与えられたとばかりに一斉に愛の身体に群がり始めた。

ブレザーを脱がし、乱暴にブラウスをはだけさせる。露になった上下の下着を鑑賞するゆとりもなく、我先にとブラジャーを剥ぎ取り、ショーツを引っ張って足から抜き取った。それはさながら、地面に堕ちた手負いの蝶に群がる飢えた蟻の大群である。

「やめ……やめて! ちょっと……いい加減にしないと、怒るからね!」
 愛は本気で怒鳴ったつもりだったが、抵抗できないと分かっている少年たちは意に介さない。眉間に皺を寄せる少女の嫌悪の表情さえ、薄ら笑いを浮かべて見下ろしているだけだ。

「やっぱりクラスの女子とは違うよな。ほら、結構胸あるぜ?」
「まぁちっちゃい方だけどね」
「それより見ろよ下の毛。意外と濃いんじゃね?」
「うわっ、中ってこうなってたんだ。チンポ入れる穴ってここだっけ?」
 少年の一人が無造作に愛の膣口に指を入れた。あまりの乱暴な動きに裏返った悲鳴を上げる愛。
「あはは、変な声」
性の知識に乏しい少年たちの指の動きは何の配慮も遠慮もない。
数人の指が思うままに愛の性器をこね回し、痛みで苦悶の声を上げる表情を楽しんでいた。

股間に群がることが出来る人数は限られているから、あぶれた連中は胸をもみ、乳首をつまんで暇を潰す。まさか一番下のの零よりもっと年下の子供たちに身体を弄ばれるとは……悔しさのあまり目に涙を浮かべながら、愛は必死にドイルに訴えた。

「やめさせて下さい多摩川検事正! こんなのがカリキュラムだなんて……」
 やめろと言われてやめるくらいなら初めからこんな事をするはずがない。愛を見下ろすドイルの視線は冷静だった。
「いい加減聞き分けたまえ銭形警視正。これはケータイ刑事の職務なのだ。銭形警視総監が君のためにと、特別に私を教育係に任命してくれたというのに」

「おじいちゃま……が?」
「君だっていきなり脂ぎった中年の刑事に弄ばれるのは苦痛だろう? 子供相手なら少しは楽だと思ったのだが、そんなに嫌なら仕方がないな。バッジとケータイを返上するべきだね。元々子供の君に務まる職務ではなかったということだ」
「う……」
 推理を競い合ったこともあるドイルにそう見下されては愛も黙っていられない。
まして敬愛する祖父の配慮があったというならその期待に応えなくては……。

そんな愛の迷いを見越して、ドイルが両足の間に割り入ってきた。半ズボンのファスナーを開けるとピンク色のペニスが飛び出してくる。
年齢の割にはちゃんと皮も剥けているし、サイズも大きめだろう。
「ま、待って下さい! それだけは……私、はじ・・・」
 言いかけて愛が言い淀む。
「何だね? 言いたいことがあるならはっきり言いたまえ銭形警視正」
 訊き返すドイルの表情は、明らかに愛の言わんとしている事を察している顔つきだった。

知っていてわざと愛に言わせようというのか。仕事とはいえ、徹底的に愛に恥辱を与えようとするドイルのやり口は執拗だ。
周りの少年たちもごくりとつばを飲み込んで愛の次の言葉を待ちわびていた。
涙をこぼしながら、顔を背けて声を絞り出す。
「……わ、私、初めてなんです。だからお願いします。それだけは許して下さい」

 観念して嘆願する愛を、ドイルは満足げに見下ろして黒ぶちの眼鏡を直した。
「今どき処女信仰でもあるまい。確かに17歳の女の子にとっては価値あるものかもしれないが……自覚が足りないな。君は女の子である前にケータイ刑事であるべきなのだよ。ケータイ刑事に処女など無用の長物。君にはもっともっと恥ずかしい思いをしてもらうんだ、この程度のことで泣き言を言っていたら先が思いやられるぞ?」

 意味ありげなセリフと共にペニスを愛の膣口にあてがった。そろそろガスの効き目が薄れてきたとはいえ、数人で押さえ込まれている限り足を閉じることさえ出来ない。
ドイルの肉棒は容赦なく愛の処女地を踏み荒らしていった。
「あ、やぁぁ……いやぁ!」
「情けないな銭形警視正。子供のような悲鳴を上げるもんじゃない」
 ペニスをねじ込まれてしまってはIQ180の頭脳も持ち腐れだ。愛はただのか弱い女の子になって陵辱の痛みに耐えるしかなかった。

「すげー、ホントに入っちゃってる」
「これがセックスかぁ……」
 少年たちの声が耳に響く。初めての性体験だというのに、その様子を余すところなく……しかもこんな大勢の男の子たちに見られているのだ。
自分が見世物になったことを痛感して唇を噛み締める。あまつさえこの少年たちは、ただの見物人で納まるつもりは毛頭ないらしかった。

「おいドイル、早くしろよ。次がつかえてんだぜ?」
「フフフ……そうがっつくなよ。これから毎日いくらでも突っ込めるんだからさ。まずは軽く一発目を出しておくとするか」
「出すって、そんな……ああっ!」
 一気に抽送を早めたかと思うと、ドイルのペニスが愛の膣の奥底で弾けた。子供とはいえ精液は精液。胎内で射精されれば妊娠の危険だってある。
愛よりも少年たちの方が驚いていた。


女刑事陵辱1