は37歳で和装が似合う、どちらかと言うとおしとやかな女。
実際、茶道を趣味としていて週末には足しげくお師匠の所に通っている。
夫婦生活は円満だが、夜の方は私がED気味な事もあって年に数回ある程度だ。
はその事に不満を漏らしたりはしないが、女盛りの肉体はいざ事に及ぶと乱れっぷりは相当なものだった。
ある日と休日に城址で開かれるお茶会に同伴した日の事。
行きはそうでもなかったのに、丁度沿線にある競馬場でレースが開催される日だったのか帰りの電車はその客で超満員だった。
しかも客層が相当悪い、酒が入っているのは当たり前で浮浪者の様な輩もいる。
は顔をしかめながら私と離れないようにしていたが、電車の横揺れで少し間が空いてしまった。
しばらくするとの様子がどうもおかしい。
満員電車で着物を着ている事もあってか顔が苦しそうにしている。
私が目で「大丈夫か?」と問いかけても小さく首を振るばかり。
間を詰めようにも身動きが出来なかった。
十分程したら次の駅に到着するのでそのタイミングで一度と降りようと考えていた。
は段々顔が上気し始め、酸欠状態のように見えた。
の背後を見ると明らかに酔っ払った小汚い男が張り付いている。
しかも満員電車とはいえ明らかに距離が近い。
痴漢されている!と気付くと、の苦悶の表情が苦しさからくるものでは無く、SEXの時に見せる顔だという事に気付いた。
に必死に近づこうと少し位置を変えると、丁度が汚い男の手で撫で回されているのが見えた。
苦悶の表情の、ニヤニヤと笑う汚い男、撫で回されるを交互に見ていながら怒りと共にしばらく忘れていた性的な興奮がムクムクと立ち上がってきた。
私は血走った眼をしながら男に対する怒りと共に、ある種の期待を込めた眼差しを送ってしまっていた。
あまり抵抗のしないに対し図に乗った男は段々とエスカレートしていき、着物のおくみの部分から手を突っ込み真っ白な太腿を摩り始めた。
私は真っ白な太腿とこの満員電車の不快な光景のギャップに頭がクラクラとした。
着物を着るときは肌襦袢のみで下着は身に付けない。
つまり男の手が陰部に到達すると直接触れられてしまう事になる。
はそれだけは避けようと身体をよじり小さな抵抗をしていた。
ふと、一瞬の動きが止まる。
それからしばらくはうつむいたまま何の動きもみせなくなった。
男の手が陰部に到達してしまったのが明らかだった。
それからのは身体を微妙に揺らしながら、時折私に訴える様な視線を送りすぐにまた逸らす。
上気した表情は完全にSEXの時のもので小刻みに肩が震え始めた。
もう限界だと我に返った私は満員電車の中ではあったがに次の駅で降りようと大きな声を掛けた。
は安堵の表情を浮かべたが、次の瞬間両目をギュッと閉じて身体がガクッと、膝が笑ったかの様な状態になった。
しばらく惚けた表情をしていたが眼に涙を浮かべ、こちらを見ている。
背後の男は勝ち誇った様な薄ら笑いをに向けている。
おそらく絶頂したのだろうと解り私は絶望感で一杯になった。
次の駅での手を強引に掴みこの忌々しい電車を降りた。
は静かに泣いていた。
私はの肩を軽く抱き、助けられずすまなかったと詫びた。
は震えながら私から離れようとはせず、結局電車を数本見送って帰宅の途に着いた。
 

コメント

コメントフォーム
記事の評価
  • リセット
  • リセット