兄がクスリにはまって、マチキンから金を借りた。
1回目は俺と妻が貯めていたマンションの頭金でやりくりしたが、2回目は俺が借金をさせられてなんとかしのいだ。
けれど3回目の時はとうとう債権回収業者と名乗る妙な連中が家にきた。
病持ちのおふくろは、もう半狂乱だし、俺たち夫婦にももう金はない。
居間の真ん中で、連中に足蹴にされながら、顔を腫らした兄が「見捨てないでくれよ」と甘えた声ですがりついてくるのが殺してやりたいほど、腹立たしかった。
「弟さんよ、もう1回、金借りてこい」と鼻が低く赤い顔をしたおっさんが凄んできた。
俺の背に隠れるおふくろと妻は時折、連中から身体を触られ、すっかり怯えてしまっている。続きを読む