私達の悪夢は、とんでもない幸運から始まりました。
当時私は食品メーカーに勤めるサラリーマン。
入社10年目で係長の私は、出世街道を進むわけでもなく、落ちぶれるわけでもない、そんな平凡な営業マンでした。
妻の由美は30歳。
元会社の後輩だった妻とは5年前に結婚し、2年目で恵まれた長男はもうすぐ3歳の誕生日を迎えようとしていました。
その日会社から帰った私を、妻が興奮した様子で迎えました。
「あなた、当たったのよハワイ旅行。」
興奮する妻をなだめて聞いてみると、近所のスーパーの福引で、特賞のハワイ旅行に当選したとのことでした。
「すごいじゃないか。休みをとって出かけるか。」
まだ若くうだつの上がらない私には、自力で家族をハワイに連れていく実力はありません。続きを読む